生成AIのマーケティング活用|効果が出る使いどころと、載せ替えの順番
「マーケティングに生成AIを使いたいが、何から手をつければいいのか分からない」。研修先でいちばん多く受ける相談です。ツールは触ってみた、記事も一度書かせてみた。けれど、日々の業務のどこにどう組み込めば成果につながるのかが見えない——ここで止まっている会社が本当に多い。
私がいつもお伝えしているのは、いきなり全部をAIに載せ替えようとしないことです。マーケティングの仕事は幅が広く、AIが効く場所と、まだ人がやったほうがいい場所がはっきり分かれます。効果が出やすいところから順に載せ替えていく——この順番を間違えなければ、少人数のマーケティング部門でも、こなせる量が目に見えて変わります。
この記事では、生成AIがマーケティングのどこで効くのかを整理し、載せ替える順番と、つまずきやすい落とし穴まで、法人目線で書きます。
生成AIは、マーケティングのどこで効くのか
マーケティングの業務を分けると、AIの向き不向きが見えてきます。
- 文章を作る系(記事の下書き、SNS投稿、広告の見出し、メールの本文)=最も効く。量とスピードで人を大きく上回る
- 整理・要約する系(アンケートの集計、口コミの傾向出し、競合ページの整理)=効く。人が読む前の下ごしらえに強い
- 発想を広げる系(企画の切り口出し、キャンペーンの案出し)=効く。ただし採用の判断は人が持つ
- 最終判断する系(予算配分、ブランドの方向づけ、表現の可否)=まだ人。AIは材料を出すところまで
つまり「作る・整理する・広げる」はAIに、「決める」は人に。この線を引くだけで、どこから始めるかが決まります。
効果が出やすい順に、載せ替える
順番はシンプルです。毎日発生していて、量が多く、完璧でなくてよい作業から始めます。
1. SNS投稿と広告の見出し(今日から効く)
投稿文や広告の見出しは、数を出して選ぶ仕事です。生成AIは1つのテーマから何十通りもの案を数分で出せるので、人は「作る」から「選ぶ・磨く」に役割が変わります。ここは失敗しても差し替えが効くので、最初の一歩に向いています。
2. 記事・コラムの下書き(構成と初稿)
ブログやコラムは、白紙から書き始める負担が大きい仕事です。見出しの構成案と初稿をAIに出させ、人が事実確認と自社らしさの加筆をする。この分担にすると、公開までの時間が縮みます。ただしそのまま公開は禁物です(理由は後述)。
3. 顧客の声の整理(分析の下ごしらえ)
アンケートの自由記述や問い合わせの内容を、AIに「よくある不満の上位」「褒められている点」で整理させると、人が全部読む前に傾向がつかめます。次の企画のネタが、ここから出てきます。
4. 企画の切り口出し(壁打ち相手)
キャンペーンやコンテンツの案が煮詰まったとき、AIを壁打ち相手にすると視点が増えます。出てきた案をそのまま使うのではなく、採用するかどうかは人が決める。この使い方が、いちばん外しません。
業務ごとの使いどころと、注意点
実際に社内で回すときの、業務・型・注意点を並べます。
| 業務 | AIに任せる型 | 人が押さえる点 |
|---|---|---|
| SNS投稿 | テーマと狙いを渡し、複数案を出させて選ぶ | ブランドの言葉づかい・事実の正しさ |
| 広告の見出し | 訴求の軸ごとに見出しを量産し、比べる | 誇張した表現になっていないか |
| 記事の初稿 | 構成案→初稿の順で出させ、加筆する | 一次情報の裏取り・自社ならではの具体 |
| 顧客の声の整理 | 大量の記述を傾向・上位項目にまとめる | 個人が特定される情報を入れない |
| 企画出し | 制約を伝えて切り口を広げてもらう | 採用の可否は人が判断する |
共通して大事なのは、渡し方(プロンプト)を型にすることです。狙い・読み手・トーン・してほしくないことをそろえて渡すと、出てくる質が安定します。型づくりの基本はプロンプトの書き方で整理しています。
やりがちな失敗
マーケティングでAIを使い始めた会社が、よくつまずくところです。
そのまま出してしまう
AIの文章は、読みやすい代わりにどこかで見た表現になりがちです。事実確認をせずに公開すると、間違った数字や、他社と区別のつかない内容が世に出ます。AIの出力は初稿であって、完成品ではありません。
自社らしさが消える
全部をAIに任せると、発信から会社の個性が抜けていきます。体験・数字・現場の言葉といった「その会社にしか書けない部分」は人が入れる。ここを守らないと、量は増えても刺さらなくなります。
個人情報や社外秘を入れてしまう
顧客の声を整理させるときに、氏名や連絡先をそのまま入れてしまう事故が起きがちです。入れていい情報の線を、始める前に決めておくことが欠かせません。
社内に定着させる、3つの仕組み
一度使えただけでは続きません。マーケティング部門で回し続けるには、次の3つが要ります。
- 型を配る:よく使う指示文を、投稿・広告・記事ごとにテンプレートにして共有する
- レビューを挟む:公開前に人が事実確認と自社らしさの加筆をする流れを、手順に組み込む
- 測って直す:AIで作った投稿と従来の投稿を比べ、反応が良かった型を残す
知識として「使える」ことと、業務として「続く」ことは別物です。手順に埋め込んで初めて、AIはマーケティングの戦力になります。
研修や導入に、助成金が使える場合があります
生成AIをマーケティング業務に載せ替える社内研修は、人材育成やリスキリングに関する助成金・補助金の対象になる場合があります。ただし、対象になるかどうか・いくら活用できるかは、会社の状況や制度の要件、申請のタイミングによって変わります。受給や採択が確約されるものではありませんので、自社が対象になりうるかを、研修の設計とあわせて確認するのが現実的です。ノセカエでは、この見立てから一緒に行っています。
ノセカエの考え方:貴社の業務で、その場で載せ替える
ノセカエの研修は、座学3割・実習7割です。一般的なAIの使い方を聞いて終わりにせず、貴社が実際に使っている投稿・広告・記事を題材に、その場でAIに載せ替えるところまでやります。マーケティング担当の方が、研修が終わったその日から自分の業務で回せる状態を目標にしています。
あわせて、指示文の型・公開前レビューの流れ・入れていい情報の線引きまでを持ち帰れる形で整えます。研修を単発で終わらせず、部門に定着する仕組みとして設計する——それが私たちのやり方です。生成AIを営業に広げる話は生成AIの営業活用で、資料づくりへの応用は生成AIでの資料作成で整理しています。
まとめ
生成AIをマーケティングに使うコツは、いきなり全部を載せ替えないことです。「作る・整理する・広げる」はAIに、「決める」は人に。効果が出やすいSNSや広告の見出しから始めて、記事・分析・企画へ順に広げていきます。
そして、そのまま出さない・自社らしさは人が入れる・情報の線を決める。この3つを守れば、量とスピードを取りながら、発信の質は落ちません。
まずは、自社のマーケティング業務を「毎日・量が多い・完璧でなくていい」の3つで見てみてください。最初に載せ替える作業が見つかります。「うちのマーケのどこから始めるか」を一緒に設計したい方は、助成金が使えるか無料診断からお声がけください。