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研修が終わったあと、生成AIのアカウントは誰が止めるか

研修が終わったあと、生成AIのアカウントは誰が止めるか
目次
  1. 1|研修後に手当てが要るのは3つ
  2. 2|(1)退職者:退職手続のチェックリストに1行足す
  3. 3|(2)異動:止めるのではなく、権限と履歴を洗い直す
  4. 4|(3)利用履歴:見ないログは、事故のあとにしか読まれない
  5. 5|棚卸しは、随時・月次・四半期・年次に分ける
  6. 6|次の研修を発注する前に決めておくこと
  7. ノセカエがお引き受けする範囲
  8. まとめ
  9. 参考資料・注意事項

研修は終わり、受講者は全員アカウントを持った。ここまではうまくいく会社が多いのですが、問題はそのあとです。生成AI研修のあとにアカウントを管理する人事・情シス・推進担当の方に向けて、研修後に残るアカウントを誰が、どの頻度で止めるかをまとめます。

最初にお伝えしておくと、研修を提供する側は、受講後のアカウント停止までは担当しないことが一般的です。研修の契約は実施日で終わるためで、当社も明示的にお引き受けしていない限り、貴社のアカウントを止める権限は持っていません。止める担当を貴社の中に置いていただかないと、半年後には誰も管理していないアカウントが残ります。

扱う対象は3つに絞ります。退職者のアカウント、異動で使わなくなった席、誰も見ていない利用履歴。研修の前に決めること(会社契約にするのか、個人アカウントのままにするのか)はChatGPT研修の前に決めるアカウントと契約に書きました。本記事はその続き、研修が終わった翌月からの話です。

1|研修後に手当てが要るのは3つ

「アカウント管理」と言うと範囲が広く見えますが、研修のあとで実際に手当てが要るのは次の3つです。

残るもの放っておくと起きること影響が大きいのは止める人
(1) 退職者のアカウント会社を離れた人が、社内の資料を入力した会話履歴にアクセスできる状態が続く権限(費用より重い)人事の退職手続に組み込む
(2) 異動で使わなくなった席使っていない席の利用料を払い続ける。過去の会話に、異動先では見てはいけない情報が残る費用と権限の両方情シスまたは管理部門(四半期の棚卸し)
(3) 誰も見ていない利用履歴危ない使い方も、まったく使われていない事実も、どちらも気づかれない気づく速さ推進担当(月次で見る)
3つに共通しているのは、「誰の仕事でもない」という理由で放置されやすいことです。難しいから止まっているわけではありません。人事は情シスの仕事だと思い、情シスは現場の判断だと思い、現場は自分に権限がないと思っている。決めるのは担当者の名前ひとつです。

2|(1)退職者:退職手続のチェックリストに1行足す

いちばん重く、いちばん簡単に片づく項目です。

前提として、個人情報を扱うシステムのアカウント管理は、会社の任意の運用ではありません。個人情報保護法は第23条で安全管理措置を、第24条で従業者の監督を、第25条で委託先の監督を定めています。個人情報保護委員会の「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」は、講ずべき安全管理措置を、基本方針の策定、個人データの取扱いに係る規律の整備、組織的・人的・物理的・技術的の各安全管理措置という枠組みで整理しており、技術的安全管理措置にはアクセス制御と、アクセス者の識別と認証が含まれます。退職した人のアカウントが生きている状態は、このアクセス制御が働いていない状態です。

内部不正の観点では、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の「組織における内部不正防止ガイドライン」(第5版・2022年4月公開)があります。「基本方針」「資産管理」「技術的管理」「職場環境」「事後対策」など10の観点、合計33項目の対策として整理されており、退職者や異動者の権限の管理もその中で扱われています。

チェックリストに足すのは、この3行

  1. 「生成AIのアカウントを停止する」を、退職手続のチェックリストに項目として追加する。メール、勤怠、チャットは載っているのに、生成AIが載っていないことがよくあります。研修で新しく配ったものは、既存のリストには自動では載りません。
  2. 停止の期日を、最終出社日ではなく退職日に合わせるかを決めておく。有給休暇の消化中もアクセスできる状態が残るため、どちらに合わせるかを明記しておかないと運用がぶれます。
  3. 会話履歴をどうするかを、事前に決めておく。停止すれば本人は見られなくなりますが、会社側に残すのか、削除するのかは別の判断です。業務で作った成果物が会話の中にしかない場合、消すと社内から失われます。残す場合は、誰が見られるのかを決めておきます。

この3行がないと、退職者のアカウントは「気づいた人が誰かに言う」でしか止まらず、気づかれないまま残りがちです。

3|(2)異動:止めるのではなく、権限と履歴を洗い直す

生成AIの法人向けサービスは、利用者ごとの席(シート)単位で課金されるものが多く、使わなくなった席をそのままにすると、使っていない分の利用料を払い続けることになります。ただ、金額の話は分かりやすいぶん、対処もされやすい項目です。

注意が要るのは権限のほうです。異動は退職と違って、アカウントが要らなくなるわけではありません。要るけれども、見てよい範囲が変わります。ここが見落とされがちです。

いずれも「アカウントを止める」では解決しません。権限と履歴を洗い直す作業です。異動の多い会社では、月次で追いかけると負荷が高いので、四半期に一度の棚卸しに載せるのが現実的です。

棚卸しで突き合わせる2つの名簿

やることは、名簿を2つ並べて差分を見ることです。ひとつは人事が持っている在籍者・所属の名簿。もうひとつは、生成AIサービス側の利用者一覧。この2つを突き合わせて、次の3つに仕分けます。

  1. 在籍していないのに席がある → 停止(第2章の漏れ)
  2. 在籍しているが、所属が名簿と違う → 権限と共有先の見直し
  3. 席はあるが、直近3か月の利用が0回 → 本人に確認のうえ、返却するか、使えていない理由を解消するか

3つめは、研修の効果測定にもなります。利用が止まっている人がいるなら、席を返してもらう前に、なぜ止まったのかを聞いてください。「業務のどこで使えばいいか分からない」という理由が挙がります。この止まり方については社員がChatGPTを「検索代わり」で止まる理由と、業務が変わる教え方に書きました。

4|(3)利用履歴:見ないログは、事故のあとにしか読まれない

法人向けの生成AIサービスの多くは、管理者が利用状況を確認する機能を備えています。ただし、機能があることと、誰かが見ていることは別です。当社の見立てでは、管理画面を月に一度も開かない会社もあります。

見るものは3つに絞ります。全部を毎月見ようとすると続きません。

見るもの何を判断するか見つかったときの打ち手
使われているか(利用者数・頻度の推移)研修が定着に向かっているか、失速しているか失速している部門に、業務に結びついた使い方を追加で渡す
危ない使い方が出ていないか社内ルールで禁じた情報が入力されていないか個人を責めずに、ルールの書き方を直す(禁止事項が具体的でないことが原因の場合がある)
席と在籍が合っているか第2章・第3章の漏れ停止または権限の見直し

ルールが抽象的なままだと、履歴を見ても何が違反なのか判断できません。禁止事項を規程の条文にどう書くかはAI利用規程の作り方に、情報漏洩のリスクと対策の全体像は生成AIのセキュリティリスクと対策にまとめています。

5|棚卸しは、随時・月次・四半期・年次に分ける

頻度を分けないと続きません。研修後の運用として当社がおすすめするのは、次の形です。

頻度やること担当所要の目安
随時退職・入社にあわせてアカウントを停止・発行する人事(退職手続のチェックリストで動く)1件あたり数分
月次利用状況を1画面だけ見る(利用者数の推移と、明らかな異常の有無)推進担当15分程度
四半期在籍名簿と利用者一覧を突き合わせ、停止・権限見直し・返却に仕分ける情シスまたは管理部門半日程度(初回はもう少しかかる)
年次契約席数の見直しと、規程の改定要否の確認管理部門+決裁者更新時期にあわせて

所要時間は目安です。大事なのは、「担当」の欄が空いていないことです。当社の見立てでは、運用が止まる原因になりやすいのは、負荷よりも担当の空欄です。

6|次の研修を発注する前に決めておくこと

これから研修を発注する場合は、次の3つを見積の段階で決めておくと、あとの運用が軽くなります。

  1. アカウントの名義を、会社にするか個人にするか。個人名義のまま研修を行うと、会社が停止できません。管理者から止められないアカウントは、棚卸しの対象にも載りません。
  2. 研修当日だけ使う一時アカウントと、研修後も使うアカウントを分けるか。分けると、当日の参加者全員に継続利用のアカウントを配らずに済みます。全員に配るのか、部門から選ぶのかは生成AI研修は全員に受けさせるか、選抜にするかで整理しました。
  3. 研修終了の翌月に、棚卸しの初回を置く。研修の日程を組む会議で、初回の棚卸し日も一緒に決めてください。

ノセカエがお引き受けする範囲

まとめ

研修後に手当てが要るのは、退職者のアカウント、異動で使わなくなった席、誰も見ていない利用履歴の3つです。退職は手続のチェックリストに1行足し、異動は四半期の棚卸しで権限と履歴を洗い直し、利用履歴は月に一度、1画面だけ見る。研修の日程を決める会議で、止める人の名前と初回の棚卸し日まで決めておくと、運用が止まりにくくなります。

参考資料・注意事項

最終確認:2026年9月24日。条文番号は2026年9月時点で施行されている個人情報保護法によります(2026年7月に改正法が公布済み)。棚卸しの頻度・所要時間、運用が止まる原因に関する記述は、当社の考え方の整理で、統計調査に基づくものではありません。生成AIサービスの管理機能・課金単位・停止手順は提供各社の仕様により異なり、変更されることがあります。個人情報の取り扱いや社内規程に関する個別の判断は、弁護士等の専門家にご確認ください。

研修の設計と一緒に、終わったあとの棚卸しまで決めます。

受講予定の人数、アカウントの契約形態、社内で管理を担える部門をうかがい、研修のあとの棚卸しを誰が担うかを、30分の無料相談で確認します。助成金の対象となるかは、提携社労士が無料で診断します。

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お電話でのご相談:03-6820-2744(平日10:00〜18:00)

浅香 祐輔

この記事を書いた人

浅香 祐輔(Never Red株式会社 代表取締役)

大手コンサルティングファーム(アクセンチュア/アビーム)出身。DX・業務改革・SAP導入が専門で、50名超のチームでPMを担当。法人向け生成AI研修「ノセカエ」の講師を務める。

講師プロフィール ・ 運営会社の情報