生成AI研修の対象者は全員か選抜か|二択より先に決める「受ける順番」

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生成AI研修を全員に受けさせるか、何人か選んで受けさせるか。研修の検討は、中身や金額より先に、誰に受けさせるかが決まらず、見積の前提が立たない段階で止まることがあります。対象者の決め方で迷っている研修担当の方に、決める順番をお示しします。
結論から言うと、全員か選抜かの二択で考えるより、成果物を承認する立場の人から先に受け、次に業務が重なる部門の全員、最後に残りの部門という順番で決めるほうがうまくいきます。なお、全員研修のほうが研修会社の売上は大きくなります。当社の提案もその点を割り引いて読んでください。
選抜で始めた場合に起きやすいのは、選ばれた数人が新しいやり方を持ち帰っても、承認する上司や隣で仕事をしている人が同じ前提を持っておらず、その人の手元で止まってしまうことです。「便利そうだけど、うちの部署ではまだ早い」で終わるケースがあります。
この記事は「誰に受けさせるか」の決め方だけを扱います。生成AI研修で何を教えるかは生成AI研修とは何をする研修か、全社員向けの安全利用の基礎はAIリテラシー研修の中身と範囲、予算の組み直し方は社員教育の予算が取れないときの考え方で扱っています。
1|全員研修と選抜研修で起きやすい失敗
どちらにも、はっきりした失敗の形があります。
| 起きやすいこと | 半年後の状態 | |
|---|---|---|
| 全員に広げる | 1人あたりの時間が薄まる。演習が「触ってみた」で終わる。もともと使っていた層には物足りず、まったく触っていない層には速すぎる | 全員が言葉は知っている。業務は変わっていない |
| 選抜にする | 受けた数人だけが前提を持つ。持ち帰った成果物を承認する側が判断できず、差し戻しも承認もされない | 数人が個人的に使っている。組織としては何も変わっていない |
右列のとおり、失敗したときの結末はほぼ同じで、「業務が変わらない」です。原因が違っても行き着く先が同じなら、全員か選抜かという二択そのものが問いとして粗いと言えます。
2|二択の前に数えておく4つの数字
全員か選抜かを決める前に、次の4つを数えることをおすすめします。ここが埋まると、答えはおおむね見えてきます。
- いま自分の判断で使っている人が、社内に何人いるか。会社が用意していなくても、個人で使っている人はいます。この数がゼロなのか、5人いるのかで設計が変わります。5人いるなら、その人たちを受講者ではなく演習の題材提供役に回せます。
- 成果物を承認する立場の人が、何人いるか。課長・部長・役員の数です。次の章で説明する順番を決めるうえで、最も重要な数字です。
- 1回の研修で、業務を止められる最大人数。全員を同時に研修に出せない会社もあります。3回に分けられるのか、2回が限界なのか。時間が取れない場合の切り方は分割研修と連続研修の選び方で扱っています。
- 半年後に「変わった」と言える業務を、いくつ挙げられるか。議事録・提案書の下書き・問い合わせ返信の草案など、具体名で挙げます。挙がらないなら、対象者の議論より先にここを決める段階です。
3|対象者は「受ける順番」で決める
4つを数えると、全員か選抜かの二択ではなく、先に受ける層を決めて時期をずらす形が候補になります。
最初は成果物を承認する立場の人
「まず現場の若手を数人」と考える会社もありますが、順番は逆をおすすめします。承認する立場の人が先に受けていないと、現場が持ち帰った成果物が止まります。
上長が中身を判断できないと、出てきた提案書に対して「これはAIで書いたのか」という質問から始まり、内容の議論に入る前に話が終わってしまいます。上長が同じものを一度作ったことがあれば、「この部分は事実確認したか」という中身に即した差し戻しが出ます。この差は大きいものです。上司側の確認のしかたは部下が生成AIで作った資料を上司がどう確認するかで扱っています。
次に業務が重なる部門の全員
2番目は、部門の中の全員です。個人を選ばず、同じ仕事を隣でしている人をまとめて入れます。隣の人が同じ前提を持っていれば、研修の翌週から「これ、どうやった?」という会話が生まれます。人を選んで抜き出すと、この会話が起きません。
選抜そのものが悪いのではなく、組織を縦に薄く切ると受講者が孤立するということです。部門単位でまとめて受ければ、人数としては選抜でも孤立しません。
最後に残りの部門へ広げる
1つ目の部門で成果物が出てから、次の部門へ移ります。このとき教材に社内で実際に出た例を入れておくと、2部門目以降の受け止め方が変わります。他社事例より、隣の部署の例のほうが伝わりやすいためです。社員が検索代わりの使い方で止まる理由と教え方は生成AIが社内で定着しない理由で扱っています。
順番の整理:①承認する立場の人 → ②業務が重なる部門の全員 → ③残りの部門、の順に時期をずらします。予算が1回分しかない年は、①と②だけを実施してください。③は翌期でも構いません。反対に、③に相当する全社説明会だけを先に行うと、最も残りにくくなります。
ここまでは、同じ階層の中で誰を選ぶかという話でした。役員から入れるか現場から入れるかで止まっている場合は、経営層向け生成AI研修の入れ方が参考になります。
順番を決めたあとで、経験の長い社員の申込が少ないと気づくことがあります。年齢で回を分けずに、演習の題材と組ませ方で対応する方法は50代以上の社員に、生成AI研修をどう受けてもらうかに書きました。
4|全社一斉が合う会社の条件
一方で、全社一斉に実施したほうがよい会社もあります。次のどれかに当てはまる場合です。
- 利用のルールがまだない。何を入力してよく、何がだめかを全員が知らない状態は、対象者の議論より先に解消すべきところです。ルールの作り方はAI利用規程の作り方にまとめています。この場合の一斉研修は、スキルではなく線引きを全員に伝えるためのものです。
- 従業員が30名前後で、部門の区切りが曖昧。全員が複数の業務を持っている会社では、部門で切る意味が薄くなります。
- 経営として「使う」と決めた直後。方針を出した直後は、全員が同じ話を同時に聞いたほうが早く伝わります。ただしこの場合も、承認する立場の人だけは別枠で、もう一段深いところまで扱ってください。
1つ目に当てはまる会社には、スキル研修より先に、規程と線引きの回だけを行うことをおすすめします。順番が逆だと、使い方が広がる前に情報の扱いで問題が起きやすいためです。
5|助成金を使う場合は、対象者の決め方に制約が入る
研修費用に助成金を充てる場合、対象者の決め方が制度の要件に引っ張られます。「全員か選抜か」を自社の都合だけで決めたあとに制度を当てはめると、順序が逆になって使えなくなることがあります。
たとえば人材開発支援助成金では、訓練の対象となる労働者の要件、訓練時間数、実施記録の残し方などが定められています。誰を対象にするかを決める段階で、その人が要件を満たすのか、時間数が足りるのかを先に確認しておく必要があります。制度の全体像は人材開発支援助成金で生成AI研修に使えるコース、手続きの期限は人材開発支援助成金の申請の流れで扱っています。
要件の当てはめは管轄の労働局または社会保険労務士に確認し、計画届には提出期限があるため、対象者を決める段階で一度ご確認ください。
なお、この章で扱ったのは同じ雇用の形の中での絞り方です。派遣社員・業務委託・パートの方を名簿に載せてよいかで止まっている場合は、研修の対象者に派遣・パート・業務委託の人を入れる場合の確認点をご覧ください。
全員か選抜かのどちらにも収まらないのが、育児休業や休職で休んでいる社員です。外すと復帰したときに差が開き、案内を出すと休んでいる人に受講を求める形に見えてしまいます。案内を届けるか・本人が受けるか・業務として扱うかの3つに分けて考えます。詳しくは育休・休職中の社員に研修を案内する場合の注意点にまとめています。
6|対象者が決まったら見積依頼に書く5項目
ここまで決まると、研修会社に渡す条件が具体的になります。書いておく項目は次の5つです。
- 第1回の対象=承認する立場の人が何名か
- 第2回の対象=どの部門の何名か
- 1回あたりの所要時間と、業務を止められる時間帯
- 演習に使う業務の名前(議事録、提案書の下書き、など)
- 助成金を使う予定があるかどうか
この5項目があると、各社の見積書が同じ形で返ってきます。「うちは何名です」だけで依頼すると、返ってくるのは人数単価の表だけで、比べても差が見えません。見積書の比べ方は生成AI研修の相見積の比べ方で扱っています。
ノセカエでのご提案のしかた
- 全員研修をおすすめしない場合もあります。承認する立場の人が受けていない状態で人数だけ広げても、半年後に残りにくいためです。
- すでに個人で使っている社員がいる会社には、その方を受講者ではなく題材提供役に回す形を、おすすめすることがあります。その分、受講人数は減ります。
- 研修は座学3割・実習7割で組んでいます。対象者をどう決めても、実際に手を動かす時間が短いと持ち帰るものが残らないためです。
対象者に役員から現場までが入る場合、同じ日にまとめて受けるか、階層で分けるかも決める必要があります。判断の条件は役員と現場を同じ日に研修してよいかで整理しました。
まとめ
全員研修は1人あたりの時間が薄まり、選抜研修は受けた人が現場で孤立しやすく、どちらも失敗すると「業務が変わらない」で終わります。対象者は二択ではなく、①成果物を承認する立場の人 → ②業務が重なる部門の全員 → ③残りの部門という順番で決めてください。ただし、利用のルールがまだない会社は、線引きを伝える回だけを先に全員で受けるのが先です。
注意事項
本記事は一般的な整理であり、個別の研修設計の結果を保証するものではありません。助成金は審査によって支給の可否が決まり、当社は受給を約束するものではありません。助成金の申請書類の作成・提出代行は社会保険労務士の業務であり、当社では行いません。当社がお手伝いできるのは、研修の内容・時間数・実施記録が制度の要件と合う形になっているかの整理までです。
貴社の人数と部門の形で、受ける順番を組み立てます。
承認する立場の人数・業務を止められる時間・半年後に変えたい業務をうかがい、第1回と第2回の対象を、30分の無料相談で確認します。全員研修が合わないと判断した場合は、そうお伝えします。
自社向けの研修内容を相談する →お電話でのご相談:03-6820-2744(平日10:00〜18:00)
