デジタル化・AI導入補助金とは|生成AIの導入と研修に、使える範囲と使えない範囲

この記事の要点
- デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)で対象になるのは、事務局に登録されたITツールです。生成AIの機能も、登録されたツールに含まれていれば対象になり得ます。
- 通常枠では、汎用のツールだけを単体では申請できません。研修は、ツールの導入研修が役務として対象で、社員向けの研修は別の制度で見ます。
- 通常枠の締切で、2026年10月2日時点で公表されているのは、6次締切分(2026年10月30日(金)17:00)までです。以降の回は、事務局の事業スケジュールで確認します。
目次
デジタル化・AI導入補助金という制度の名前は知っていて、自社の生成AIの導入や研修に使えるのかを確かめたい方に向けて書いています。制度の全体と申請の手順は、事務局のサイトに詳しい説明があります。この記事は、生成AIの導入と研修に、使えるか、使えないかの判定に絞ります。判定ごとに、根拠にした事務局のページの記載を示します。
この記事が扱う範囲
この補助金の申請枠は5つあります。通常枠、インボイス枠(インボイス対応類型)、インボイス枠(電子取引類型)、セキュリティ対策推進枠、複数者連携デジタル化・AI導入枠です。この記事が扱うのは、通常枠だけです。申請の手順、ITツールの検索、ほかの枠の内容は、事務局のページをご覧ください。送り先は、記事の後半にまとめました。内容は2026年10月2日に事務局のページで確かめたものです。
デジタル化・AI導入補助金とは(旧IT導入補助金)
デジタル化・AI導入補助金は、中小企業・小規模事業者等がITツールを導入する費用の一部を、国が補助する制度です。目的は、労働生産性の向上です。中小企業庁の発表によると、令和7年度補正予算事業から、「IT導入補助金」が「デジタル化・AI導入補助金」に名称を変えました。同庁は対象を、AIを含むITツール(ソフトウェア、サービス等)の導入を検討している中小企業・小規模事業者と説明しています。
事務局の制度概要のページには、仕組みの前提が2つ書かれています。対象になるITツールは、事前に事務局の審査を受けて登録されたものであること。申請する会社は、事務局に登録されたIT導入支援事業者とパートナーシップを組んで申請すること。どちらにも、複数者連携デジタル化・AI導入枠を除く、という注記が付いています。
生成AIの導入に使える費用、使えない費用
生成AIに使えるかどうかは、「生成AIかどうか」では決まりません。導入したいツールが、事務局に登録されているかどうかと、通常枠の要件を満たすかどうかで決まります。
図1 通常枠で、使える費用と使えない費用
登録されたITツールと、その導入の費用
要件から外れる費用
分かれ目は、登録されているかどうかと、業務プロセスを持つソフトウェアかどうかです。
登録されたITツールに含まれる生成AIの機能
通常枠の補助対象は、ソフトウェアの購入費と、クラウド利用料(最大2年分)です。対象になるのは、事務局に登録されたITツールです。生成AIの機能を持つツールも、登録されていれば対象になり得ます。使いたいツールが登録されているかどうかは、事務局の「ITツール検索」で確かめられます。この記事では、個別のツールの名前を挙げて、対象かどうかを判定しません。登録の状況は、事務局の検索の結果で確かめてください。
汎用のツールだけを単体で入れる場合
通常枠のITツールの要件は、業務プロセスを持つソフトウェアを申請することです。事務局のページは、汎用プロセスのみの申請は不可としています。汎用プロセスに当たるのは、業種や業務が限定されない、汎用・自動化・分析のツールです。公募要領の別紙は、機能の例として、文書作成ワープロソフト、表計算ソフト、グループウェア、RPA、チャットボットシステムなどを挙げています。汎用プロセスだけを持つツールは、単独では申請できません。業務プロセスを持つソフトウェアと組み合わせると、申請できます。個別のツールがどのプロセスに当たるかは、事務局への登録の内容で決まります。
判定に使った、事務局のページの記載
表1 使えるか、使えないかの判定と、根拠の記載(2026年10月2日に確認)
| 確かめたいこと | 判定 | 事務局のページの記載 |
|---|---|---|
| 生成AIの機能を持つツール | 登録されていれば、対象になり得る | 対象となるITツールは、事前に事務局の審査を受け、補助金のサイトに公開(登録)されているもの(制度概要) |
| 汎用のツールだけの申請 | できない | 1種類以上の業務プロセスを保有するソフトウェアを申請すること(汎用プロセスのみは不可)(通常枠) |
| クラウドの利用料 | 対象。最大2年分 | ソフトウェア購入費、クラウド利用料(最大2年分)(通常枠) |
| 導入のための研修 | 役務として対象 | 導入設定・マニュアル設定・導入研修(通常枠の役務) |
| ツールの導入と切り離した研修 | 役務として申請できない | カテゴリー6(導入設定・マニュアル作成・導入研修)は、ITツール登録申請時に選択したカテゴリー1(ソフトウェア)と対になっている役務を導入する場合に限り、申請可能(公募要領「補助対象経費の内容と、補助対象となるITツールの分類・要件」) |
| 交付決定の前の契約・発注 | 補助の対象にならない | 交付決定前にITツールを契約、発注した場合は補助対象とならない。交付決定後に契約、発注を行うこと(公募要領「補助事業の実施の定義について」) |
| 自社だけでの申請 | できない(通常枠) | IT導入支援事業者とパートナーシップを組んで申請することが必要(制度概要。複数者連携デジタル化・AI導入枠を除く) |
研修に使える費用、使えない費用
導入研修(ソフトウェアとあわせて申請する役務)
通常枠では、ソフトウェアが必須で、オプションと役務は、それに足す形で対象になります。役務には、導入コンサルティング・活用コンサルティング、導入設定・マニュアル設定・導入研修、保守サポートが挙がっています。ここでいう導入研修は、補助対象のITツールを導入するための研修です。
社員が業務で使えるようになるための研修
ツールの導入と切り離した社員向けの研修は、この補助金の役務には当たりません。公募要領は、導入研修を含む役務(カテゴリー6)を、登録のときに選んだソフトウェアと対になっている役務を導入する場合に限り、申請できるとしています。社員の訓練の費用は、厚生労働省の人材開発支援助成金で見ます。助成率、期限、対象になる研修の条件はAI研修の助成金にまとめています。
ノセカエの研修は、この補助金の導入研修ではない
ノセカエの研修は、この補助金の導入研修として申請するものではありません。この補助金について当社がご案内できるのは、研修の費用に使える助成金の無料診断までです。提携する社会保険労務士が、人材開発支援助成金などの対象になり得るかを無料で診断します。
通常枠の補助率・上限・締切(2026年10月2日時点)
数字は、事務局の通常枠のページと、事業スケジュールのページの記載です。年度や公募回で変わるので、申請の前に事務局のページで確かめてください。
表2 通常枠の補助率・補助額・締切(2026年10月2日に確認)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助率 | 1/2以内。令和6年10月から令和7年9月までの間で3か月以上、令和7年度改定の地域別最低賃金未満で雇用している従業員が全従業員の30%以上であることを示した場合は、2/3以内 |
| 補助額 | 業務プロセスが1つ以上:5万円以上150万円未満。4つ以上:150万円以上450万円以下 |
| 150万円以上を申請する場合 | 業務プロセスが4種類以上であることに加えて、賃金引上げの計画が必須(一部の事業者は適用外)。公募要領は、3年間の事業計画で、1人当たり給与支給総額の年平均成長率を3パーセント以上とすること、事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上の水準にすること、この計画を従業員に表明していることを求めている。IT導入補助金2022からIT導入補助金2025までの間に交付決定を受けた事業者は条件が別で、給与支給総額の年平均成長率は3.5パーセント以上。この事業者は、150万円未満の申請でも、3.5パーセント以上の計画と従業員への表明が要る。目標を達成できなかった場合は、補助金の全部または一部の返還を求められることがある(返還を求めない場合の定めもある) |
| 公表されている締切 | 6次締切分(2026年10月30日(金)17:00)まで。この回の交付決定日は2026年12月10日(木)の予定 |
| 次の回 | 日付は公表されていない。事務局は、確定した回の日程だけを公表している |
| 申請に要る準備 | GビズIDプライムの取得と、SECURITY ACTIONの宣言(すべての申請枠・類型の要件) |
事務局は、GビズIDプライムの発行までの期間を、おおむね2週間と案内しています。締切の直前に取り始めると、間に合わないことがあります。交付申請は、IT導入支援事業者から申請用のページへの招待を受けて、共同で作ります。交付決定の通知を受けてから、補助事業を始められます。交付決定の前に契約・発注をしたITツールは、補助の対象になりません。契約と発注は、交付決定のあとに行います。
図2 この記事が扱う範囲と、事務局のページへの送り先
通常枠で、生成AIと研修に使えるか
制度の全体と、申請の手続き
申請の手続きは、事務局のページと、IT導入支援事業者の案内に従います。
事務局のページは、次のとおりです。
- デジタル化・AI導入補助金制度概要(5つの申請枠の一覧)
- 申請の対象となる方(会社の規模の要件)
- 新規申請・手続きフロー詳細
- 申請を行う前に必要な手続き
- ITツール検索
- 事業スケジュール
- 資料ダウンロード(公募要領、交付規程)
この補助金で足りない費用を、どの制度で見るか
ツールの費用はこの補助金で、研修の費用は助成金で見る、というように、費用ごとに制度を分けます。同じ経費を複数の制度に申請すると、併給できない場合があります。補助金と助成金の分け方の全体は生成AIの導入に使える補助金で、受け取る人と申請時期の違いはリスキリングの補助金と助成金の違いで扱っています。研修の助成金のコースの選び分けは人材開発支援助成金とはに、ツール代と研修費を含めた総額の見積もり方はAI導入費用の内訳にまとめています。
ノセカエの場合
ノセカエは、生成AIを業務で使うための法人研修です。座学3割・実習7割で、受講者が自分の業務を持ち込みます。ノセカエの研修は、この補助金の導入研修として申請するものではありません。この補助金について当社がご案内できるのは、研修の費用に使える助成金の無料診断までです。この補助金の申請の手続きは、当社では扱いません。補助金や助成金の採択と支給は、お約束できません。料金と内容はノセカエのトップページでご確認ください。
この記事のまとめ
- 対象になるのは、事務局に登録されたITツール。生成AIの機能も、登録されたツールに含まれていれば対象になり得る。
- 通常枠では、汎用のツールだけを単体では申請できない。
- 研修は、ツールの導入研修が役務として対象。社員向けの研修は、人材開発支援助成金で見る。
- 通常枠の補助率は1/2以内(条件を示した場合は2/3以内)、補助額は5万円以上450万円以下。150万円以上は、賃金引上げの計画が必須。IT導入補助金2022〜2025で交付決定を受けた事業者は条件が別で、150万円未満の申請でも計画が要る。締切は事務局の事業スケジュールで確かめる。
よくある質問
- デジタル化・AI導入補助金は、IT導入補助金と同じ制度ですか
中小企業庁は、令和7年度補正予算事業から、「デジタル化・AI導入補助金(旧:IT導入補助金)」に名称を変更したと発表しています。申請枠や要件は年度で変わるので、事務局の最新のページで確かめてください。
- 生成AIのツールは、補助の対象になりますか
事務局に登録されたITツールであれば、対象になり得ます。通常枠では、業務プロセスを持つソフトウェアの申請が必須で、汎用のツールだけを単体では申請できません。使いたいツールが登録されているかは、事務局のITツール検索で確かめてください(2026年10月2日時点)。
- 生成AIの研修費用は、この補助金の対象になりますか
通常枠では、補助対象のITツールを導入するための導入研修が、役務として補助対象に挙がっています。ツールの導入と切り離した社員向けの研修は、この補助金ではなく、人材開発支援助成金で見ます(2026年10月2日時点)。
- いつまでに申請すればよいですか
通常枠の締切で、2026年10月2日時点で公表されているのは、6次締切分(2026年10月30日(金)17:00)までです。その次の回の日付は公表されていません。事務局は、確定した回の日程だけを公表しています。最新の日程は、事務局の事業スケジュールのページで確認してください。
- 自社だけで申請できますか
通常枠では、事務局に登録されたIT導入支援事業者とパートナーシップを組んで申請することが必要です。交付申請は、IT導入支援事業者から申請用のページへの招待を受けて、共同で作ります(2026年10月2日時点)。
参考資料・注意事項
- デジタル化・AI導入補助金2026「通常枠」
https://it-shien.smrj.go.jp/applicant/subsidy/normal/ - デジタル化・AI導入補助金2026「デジタル化・AI導入補助金制度概要」
https://it-shien.smrj.go.jp/about/ - デジタル化・AI導入補助金2026「事業スケジュール」
https://it-shien.smrj.go.jp/schedule/ - デジタル化・AI導入補助金2026「新規申請・手続きフロー詳細」
https://it-shien.smrj.go.jp/applicant/flow/ - デジタル化・AI導入補助金2026「申請を行う前に必要な手続き」
https://it-shien.smrj.go.jp/applicant/measures/ - デジタル化・AI導入補助金2026「公募要領(通常枠)」
https://it-shien.smrj.go.jp/pdf/it2026_koubo_tsujyo.pdf - 中小企業庁「デジタル化・AI導入補助金2026の公募要領を公開しました」
https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/hojyokin/kobo/2026/260310001.html
最終確認:2026年10月2日。本記事は、通常枠について、事務局のページと公募要領の記載を整理したものです。公募要領(通常枠、全54ページ)は、次の箇所を確認しました。申請要件(2-1-1(2))のうち、賃金引上げの計画を定める(テ)(ト)(ナ)(ニ)と、その前後の項、未達の場合の返還の補足。補助対象経費の内容と、ITツールの分類・要件(役務のカテゴリー、プロセスの数、汎用プロセスの注記、補助対象外となる経費)。補助事業の実施の定義。別紙2の汎用プロセスの機能例。それ以外の箇所と、交付規程は確認していません。補助金の対象範囲・金額・要件・締切は、年度や公募回によって変わります。申請の前に、最新の公募要領と事務局の情報をご確認ください。個別の採択や交付を確約するものではありません。
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