プロンプトエンジニアリング研修|汎用の書き方で終わらせず、業務の名前から演習を組む

この記事の要点
- プロンプトエンジニアリング研修は、生成AIへの指示の書き方を学ぶ研修です。書き方の型だけを学んで終わると、自分の業務で使う場面につながりません。
- 演習は、汎用の例題でなく、受講者の業務の名前から組みます。置き換えの例を表にしました。
- 汎用的なプロンプトの作り方だけを学ぶ訓練は、令和8年8月3日以降の計画届から、助成の対象外となるコースがあります。
目次
「まずプロンプトの研修を」と考えている人事・研修担当の方に向けて、プロンプトエンジニアリング研修で何を学ぶのかと、業務に結びつける組み方を整理します。プロンプトの書き方そのものはプロンプトの書き方で扱っているので、この記事では研修の組み方に絞ります。
プロンプトエンジニアリング研修とは
プロンプトエンジニアリング研修とは、ChatGPTなどの生成AIに出す指示(プロンプト)の書き方を、体系的に学ぶ研修です。同じ頼みごとでも、指示の書き方で答えの質が変わるため、書き方を学ぶことには意味があります。
学ぶ内容
研修会社のコースには、次のような内容が並ぶことが多いです。
- 基礎。生成AIの仕組みと限界、指示に入れる要素(役割、目的、材料、出力の形式)。
- テクニック。例を示して頼む、手順を分けて頼む、答えを見て指示を直す、といった書き方の手法。
- 応用。文書の作成、要約、表の整理など、作業ごとの使い方。
- リスク。誤った答えの見分け方、入力してはいけない情報。
基礎とテクニックは、どの職種にも共通する知識です。業務で使えるようになるかどうかは、応用の部分を受講者の仕事に合わせて組めるかで変わります。
対象者
対象者は、大きく2つに分かれます。文章を書く仕事のある一般の社員と、AIを組み込んだ仕組みを作るエンジニアです。同じ「プロンプトエンジニアリング研修」という名前でも、エンジニア向けのコースは、開発の手法やAIを呼び出す仕組みまでを扱います。申し込む前に、どちらを対象にしたコースかを確かめます。この記事で扱うのは、一般の社員向けの研修です。
汎用の書き方だけで終わると起きること
汎用の例題で書き方の型を学ぶ研修は、短い時間で全員に基礎を通せます。一方で、そこで終わると、次のことが起きやすくなります。
- 自分の仕事への当てはめが、受講者任せになる。「旅行の計画を立てる」「架空の会社の議事録を要約する」といった例題で型を覚えても、自分の見積書や報告書にどう使うかは、職場に戻ってから1人で考えることになります。
- 型を覚えることが目的になる。指示に入れる要素を全部そろえることに気を取られ、何を作りたいのかが後回しになります。
- 業務の知識が指示に入らない。良い答えを引き出すのは、型よりも、誰に向けた何の文書で、何を材料にするかという業務の情報だと当社は考えています。これは汎用の例題では練習しにくい部分です。
図1 汎用の演習と、業務の演習の違い
型から入る
業務の名前から入る
型は短く教え、時間は業務の演習に使います。
業務の名前から演習を組む
演習を業務に結びつけるには、「プロンプトの基礎」「応用テクニック」といったAIの側の言葉でなく、「営業の提案書」「経理の月次報告」といった業務の名前から組みます。
演習の置き換えの例
表1 汎用の演習を、業務の演習に置き換える例
| 汎用の演習 | 業務の演習 | 対象 |
|---|---|---|
| 架空の会議の議事録を要約する | 先週の定例会議の自分のメモから、決定事項と担当者を分けた議事録を作る | 全部署 |
| 例文のメールを丁寧な表現に直す | 納期の変更を取引先に伝えるメールを、打ち合わせのメモから下書きする | 営業、購買 |
| 商品の紹介文を作る | 自社の商品について、提案書の構成案を作り、文章を直す | 営業 |
| 表のデータを説明させる | 月次の報告に使う数字の表から、前月との違いを説明する文を作る | 経理、管理部門 |
| 質問への回答を作る | よく届く問い合わせの文面に、社内の決まりに沿った返信の下書きを作る | 顧客対応 |
右の列の演習では、受講者は型に加えて、誰に送るのか、何を伝えるのか、どの資料を材料にするのかを指示に書くことになります。これが、職場でそのまま使える練習です。
受講者に事前に出してもらうもの
業務の演習にするには、研修の前に、受講者から次の2つを集めます。
- 時間がかかっていると感じる作業を、作業の名前で1つ。
- その作業の書類を、社外に出せる形にしたもの。社名、人名、金額は置き換えます。
実物を使ってよいかは、先に社内で判断します。判断の順番は演習で自社のデータを使ってよいかの判断基準で扱っています。置き換え方は、AI研修のダミーデータの作り方にまとめています。
題材を誰が用意するかを聞く
研修会社に「演習の題材は、誰が用意しますか」と聞くと、業務の演習かどうかが分かります。事前に出すものも、当日の持ち込みも無ければ、題材は研修会社が用意した例題になります。
カリキュラムの組み方
業務に結びつけるカリキュラムは、基礎を短く、業務の演習を長く取ります。
図2 カリキュラムの流れ
書いて、答えを見て、直す往復を、自分の業務で繰り返す時間が中心です。
オンラインで行う場合は、講師が受講者の画面を見て、指示の直し方をその場で返せる形式かを確かめます。受け方の違いはAI研修の受講形式の選び方で扱っています。
助成金を使う場合:汎用のプロンプトだけの訓練は対象外
研修の費用は、要件を満たせば、厚生労働省の人材開発支援助成金の対象となる可能性があります。ただし、事業展開等リスキリング支援コースでは、令和8年8月3日以降に出す計画届から、対象にならない訓練が変わりました(経過措置あり)。厚生労働省のリーフレットは、生成AIの研修を例に挙げています。
| 訓練の内容 | 扱い |
|---|---|
| 生成AIを利用するために、汎用的なプロンプトの作り方を学ぶ訓練 | 助成の対象外。特定の業務への具体的な適用を伴わない汎用的な内容のため |
| 生成AIを活用して、商品提案書の構成案の作成、文章の生成、修正の方法を学ぶ営業担当者向けの訓練 | 助成の対象。営業担当者の具体的な業務に直結しており、そのまま活用できる内容のため |
助成金を使うなら、演習を業務に結びつける
業務の名前から演習を組むことは、研修の効果のためだけでなく、助成金の要件にも関わるようになりました。支給されるかどうかは審査により異なります。実訓練時間10時間以上などの要件もあるので、条件と期限はAI研修の助成金で、研修の設計がどこまで縛られるかは助成金を使う研修の設計上の制約で確かめてください。
研修会社に聞くこと
- 対象は、一般の社員ですか、エンジニアですか。
- 演習の題材は、誰が用意しますか。こちらが出す資料や、当日の持ち込みを使えますか。
- 全体の時間のうち、受講者が自分で指示を書く時間は何分ですか。
- 受講者ごとに、違う業務を題材にできますか。
- 研修のあと、質問はいつまで受けてもらえますか。
ノセカエの研修は、座学3割・実習7割で、貴社の業務を題材に進めます。指示の書き方は実習のなかで扱い、受講者が持ち込んだメモや資料を、その場で成果物に変えるところから入ります。時間割はChatGPT研修の内容と進め方に載せています。
この記事のまとめ
- プロンプトエンジニアリング研修は、生成AIへの指示の書き方を学ぶ研修。
- 型は短く教え、演習は受講者の業務の名前から組む。
- 研修の前に、時間がかかっている作業と、社外に出せる形にした書類を集める。
- 汎用的なプロンプトの作り方だけを学ぶ訓練は、助成の対象外となるコースがある。
よくある質問
- プロンプトエンジニアリング研修は、どんな社員に向いていますか
一般の社員向けの研修は、メール、報告書、議事録、提案書など、文章を書く仕事のある社員に向いています。エンジニア向けのコースは、AIを組み込んだ仕組みを作る人が対象で、内容が違います。
- プロンプトの型を覚えれば、業務で使えるようになりますか
型だけでは足りません。良い答えを引き出すには、誰に向けた何の文書で、何を材料にするかという業務の情報を、指示に書く必要があります。自分の業務を題材にした演習で、書いて直す練習をします。
- プロンプトエンジニアリング研修に、助成金は使えますか
事業展開等リスキリング支援コースでは、令和8年8月3日以降に出す計画届から、汎用的なプロンプトの作り方を学ぶ訓練は助成の対象外とされました(経過措置あり)。受講者の業務に直結する内容の訓練は対象となる可能性がありますが、支給されるかどうかは審査により異なります。
参考資料・注意事項
- 厚生労働省「人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)改正:令和8年8月3日からの変更点について」
https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001731966.pdf - 厚生労働省「人材開発支援助成金」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/d01-1.html
最終確認:2026年10月2日。汎用の演習と業務の演習の区分、置き換えの例は、当社の考え方を整理したもので、統一された定義ではありません。助成金は要件を満たす場合に対象となる可能性があるもので、受給を保証するものではありません。
業務の名前から組んだ演習で、指示の書き方を身につけます。
受講する方の業務と、時間がかかっている作業をうかがい、演習の題材を、30分のヒアリングで確認します。
自社向けの研修内容を相談する →お電話でのご相談:03-6820-2744(平日10:00〜18:00)
