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新入社員研修に生成AIを入れるか|入れるなら何日目に何を教え、何を教えないか

新入社員研修に生成AIを入れるか|入れるなら何日目に何を教え、何を教えないか
目次
  1. 新入社員に生成AIを教えるのが難しい理由
  2. 何日目に入れるか|3つの型
  3. 1年目のうちは教えない使い方
  4. 成長を妨げないための工程の分け方
  5. 研修を作るときの3つの決めごと
  6. 費用と助成金
  7. ノセカエで新入社員研修をお受けする場合
  8. まとめ
  9. 注意事項

来年度の新入社員研修に、生成AIを入れるか。入れるなら、研修のどこに置くか。これを検討している人事担当の方に向けて整理します。

最初に確かめたいのは、入れるかどうかではなく「配属先の先輩は、いま使っているか」です。使っていない職場に、使える新人だけを送り込むと、周囲から浮いてしまい、数か月で使わなくなるケースがあります。

以下では、何日目に入れるかと何を教えないかの2点に絞って整理します。研修全体の切り方は企業研修の切り方と何から始めるか、生成AI研修で扱う中身の全体像は生成AI研修とは何をする研修かで扱っています。

新入社員に生成AIを教えるのが難しい理由

既存社員向けと新入社員向けとでは、同じ内容の研修をしても結果が大きく変わります。理由は年齢でもITの得意不得意でもなく、出てきた答えが妥当かどうかを判定する基準をまだ持っていないことです。

入社10年目の営業担当者がAIで提案書のたたき台を作ると、読んだ瞬間に「うちの顧客にこの言い方はしない」と分かります。自分で何十本も書いてきたからです。同じ出力を新入社員が読むと、よくできた文章に見えます。比較する基準を持っていないので、粗が見えないのです。

既存社員新入社員
AIの出力の扱い自分の仕事の下書きとして使う答えとして受け取る
間違いへの反応違和感で気づき、直す気づかないまま提出する
教えるべきこと使い方と、使いどころの広げ方使ってよい範囲と、自分でやる工程の線引き
研修の効果その日から作業時間を削減できる効果が出るのは遅い。最初はかえって成長を妨げることがある

ですから、新入社員研修で必要なのは「使わせない」ことではなく、教える順番を変えることです。学生時代から生成AIを使ってきた新入社員も多く、禁止しても隠れて使うだけになりかねません。会社が決めるべきなのは、使う・使わないではなく、どの工程を自分の手でやらせるかです。

何日目に入れるか|3つの型

置き場所は、おおむね次の3つです。

型いつそこで教える内容向く会社/注意
A・初日型入社初日〜1週目入れてはいけない情報の線引きだけ。使い方は教えない全社。情報管理の説明の一部として置く。ここでツールの操作を教えると、業務が見えないまま手だけ覚える
B・配属前型配属前研修の後半(2〜6週目)型が決まっている作業の下書きとしての使い方。自社の実務を題材にした演習集合研修の期間が3週間以上ある会社。短い会社は無理に入れない
C・配属後型配属から3か月後のフォロー研修判断を含む使い方。自分の仕事の型ができてから広げるOJT中心の会社。実務で一度詰まった経験があるほど定着する

当社がおすすめしているのは、この3つから1つを選ぶのではなく、3回に分けて置く設計です。

  1. 初日は、規律だけ。顧客名や個人情報を入力しない、無料の外部サービスを勝手に業務で使わない、出てきた内容をそのまま社外に出さない。この3つで足ります。社内ルールの作り方はAI利用規程の作り方、情報漏洩の論点は生成AIのセキュリティリスクと対策で扱っています。
  2. 配属前研修の後半で、下書きとしての使い方。ここで初めて操作を教えます。題材は自社のメール文面や社内用語の確認など、答え合わせができるものに限ります。
  3. 配属3か月後に、判断を含む使い方。自分でやってみて時間がかかった作業を持ち寄らせると、その日の演習が全部実務になります。

初日にツールの操作から入らないでほしい理由は、入社初日の新人にとって最も分かりにくいのが「自分の仕事は何か」だからです。仕事が見えていない状態で効率化の道具を先に渡すと、何を効率化しているのか分からないまま手順だけが残ります。

1年目のうちは教えない使い方

「教えない」は禁止ではありません。1年目の後半か2年目に解禁する前提で、いまは外すという意味です。

1年目のうちは外す4つ

最初から教えてよい4つ

線引きの基準は1つで足ります。その工程は、本人が上達するために必要か。必要ならAIに任せない。必要でないなら任せてよい。これは新人に限らずベテランにも同じ基準で、違うのは、新人には「必要な工程」が多いという点です。

形式の決まったメールの下書きでも、社外に出るものには日付の誤りや、していない約束が入り込むことがあります。ビジネスマナー研修に「送る前に確かめる」型を1コマ足しておくと、使わせるかどうかの方針とは別に誤送信を減らせます。確かめる箇所と演習の組み方は新人がAIで書いた社外メールを確認させる方法で扱っています。

なお、この線引きは新卒入社を前提にしています。中途入社の方にはそのまま当てはまりません。職種の力量はすでにあり、足りないのは自社固有の情報なので、AIに任せてよい工程が新卒よりかなり広くなります。入社日が1人ずつ異なり集合研修が組めない場合は、オンボーディング研修に生成AIを組み込む方法をご覧ください。

成長を妨げないための工程の分け方

新入社員が伸びるのは、出来の悪い成果物を出し、直され、なぜ直されたかを聞く工程です。ここでAIが最初から70点のものを出してしまうと、直される機会そのものがなくなります。上司から見ても、80点の提出物に対して何を指導すればよいのか分かりにくくなります。

作業1年目に渡してよいか理由
日報・週報渡さないその日に何をしたか言語化する訓練。書けないこと自体が指導の材料になる
議事録自分で書いた後の突き合わせのみ会議の理解そのものが目的
社内資料の体裁づくり渡してよい整える作業に学びが少ない。中身の検討は本人が行う
用語・制度の下調べ渡してよい(出典の確認とセットで)時間の圧縮になる。ただし社内固有の事情は対象外
顧客向け提案の骨子渡さない判定基準を持っていない。2年目以降
自分の文章の推敲渡してよい元が自分の考えなので、直された理由が分かる

研修を作るときの3つの決めごと

  1. 到達点を「使える」ではなく「これは自分で書く、と自分で言える」で書く。到達点が操作の習得だと、テストで測れる一方、現場では何も変わりません。新人研修の到達点は、線引きを自分で説明できることに置きます。
  2. 演習の題材は、自社の実務から取る。一般的なプロンプト演習は、その場は盛り上がって、翌週には使われません。自社の実物を使うと、配属先でそのまま再現できます。
  3. 同じ内容を、配属先の先輩にも共有する。ここが抜けると、新人が現場で「研修で習ったので」と使い始めたときに、受け入れ側が判断できません。管理職側の研修の組み方は中小企業の管理職研修の組み方で扱っています。

3つ目は特に重要です。新人研修に生成AIを入れても定着しない原因は、内容の質より受け入れ側が研修の中身を知らないことにある場合が多いと当社は考えています。既存社員が使い始めない構造は生成AIが社内で定着しない理由と教え方で扱っています。

費用と助成金

新入社員向けの訓練は、厚生労働省の人材開発支援助成金の対象になる可能性があります。ただし、コースごとに訓練時間や計画届の提出時期などの要件が定められており、内容によっては対象外となることもあります。日程を組む前に最新の支給要領を確認するか、労働局にご相談ください。制度の全体像は人材開発支援助成金で生成AI研修に使えるコースで扱っています。

実務上の注意を1つ挙げると、助成金の要件に合わせて研修時間を伸ばすと、中身が薄くなりやすくなります。新人研修は最初から日程が詰まっているので、時間を足すより、既存の科目のどれかと入れ替える発想のほうがうまくいきます。

ここまでは入社後の研修の話です。入社前の内定者研修で生成AIを扱う場合は、まだ社員ではない人に会社のアカウントや社内の資料を渡してよいか、という別の論点が先に来ます。こちらは内定者研修で生成AIを扱う前に決めることにまとめています。

ノセカエで新入社員研修をお受けする場合

新入社員向けに組むなら、半日研修(3時間)の枠で、線引きの共有と、自社の実務を題材にした演習を組み合わせる形をおすすめします。そのうえで、次の3点を先に押さえておくことをおすすめします。

まとめ

新入社員研修で決めるべきなのは、何日目に何を教え、何を教えないかです。初日は線引きだけ、操作は配属前研修の後半、判断を含む使い方は配属3か月後。1年目のうちは、企画を考えさせること、議事録の丸投げ、顧客向け文章の生成、調べ物の丸投げの4つを外します。基準は「その工程は、本人が上達するために必要か」です。

注意事項

本記事は一般的な実務の整理であり、特定の研修設計や制度活用の結果を保証するものではありません。人材開発支援助成金は支給要件・対象経費・申請期限が改正されることがあり、支給の可否は審査によって決まります。最新の支給要領と管轄の都道府県労働局でご確認ください。生成AIの業務利用にあたっては、自社の情報管理規程と取引先との秘密保持契約の範囲もご確認ください。

いまの新人研修の日程をうかがいます。

どの日に何を入れて、何を1年目のうちは外すかを、30分の無料相談で確認します。助成金の対象となるかは、提携社労士が無料で診断します。

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浅香 祐輔

この記事を書いた人

浅香 祐輔(Never Red株式会社 代表取締役)

大手コンサルティングファーム(アクセンチュア/アビーム)出身。DX・業務改革・SAP導入が専門で、50名超のチームでPMを担当。法人向け生成AI研修「ノセカエ」の講師を務める。

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