1回目の研修が定着しなかった会社は、2回目で何を変えるか|同じ会社に頼み直す場合と、替える場合の分かれ目

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去年、生成AIの研修を1回やった。当日の雰囲気は悪くなかったし、アンケートの評価も平均的には悪くない。ところが3か月経って社内を見ると、使っている人がほとんどいない。予算はまだ残っていて、上からは「今年もやるのか」と聞かれる。けれど、同じ形でもう一度やる気にはなれない。そんな状況で2回目を考えている人事・総務の担当者に向けて書いています。
こうしたケースでは、1回目を実施するときに2回目の日程を決めていないことがあります。「まず1回やってみて、様子を見てから」という進め方です。
まず押さえておきたいのは、1回目が定着しなかった原因が会社側にある場合、研修会社を替えても結果は変わらないということです。対象者の選び方や、演習で使う題材が社内にないことが原因なら、講師を替えても同じ結果になります。逆に、原因が研修の設計側にあるなら、同じ会社に同じ条件で頼み直しても変わりません。
そこでこの記事では、2回目を発注する前に、原因がどちらの側にあるかを見極めるところから整理します。最初から1回目と2回目を2段構えで設計する方法は生成AI研修とはの「必要な会社、まだ早い会社」の節で扱っており、この記事はその設計をしないまま1回目を実施した会社の立て直し方です。
1|1回目で「何が起きなかったか」を1つに絞る
「効果がなかった」という言葉には、中身の違う4つの状態が混ざっています。2回目の設計はこの4つで変わるので、最初にどれなのかを決めてください。
| 1回目のあとの状態 | 見分け方 | 2回目で手を入れる場所 |
|---|---|---|
| (1) 研修後、誰も使っていない | アカウントのログイン記録がほとんどない。研修当日以降のアクセスが残っていない | 入口。アカウント・規程・上司の扱い |
| (2) 使ってはいるが、仕事に活かされていない | 個人的な調べもので使った形跡はある。成果物や業務の手順は変わっていない | 題材。実際の仕事の材料を演習に持ち込む |
| (3) 一部の人だけが使っている | もともと関心のある数名が伸びた。残りは当日で止まった | 対象者の選び方と、人数の刻み方 |
| (4) 使ったが、上司が止めた | 作った資料や文面が差し戻された。「AIで作ったのか」と聞かれた | 管理職側。見る訓練を別に実施する |
この4つを混ぜたまま「次はもっと実践的に」と発注すると、2回目も同じ形になりがちです。どれか1つに絞ってください。2つ以上当てはまる場合は、該当する人数が最も多いものを選びます。
2|原因が会社側にあるとき、研修会社を替えても変わらない
まず、会社側に原因がある場合です。当社がご相談を受けて「講師を替えても同じです」とお伝えしているのは、次の4つのいずれかに当てはまるときです。
(1) 対象者の選び方
1回目を「全員必須」で実施した会社に見られる形です。関心のある人と、まったく使う予定のない人が同じ部屋にいると、演習の速度が合いません。逆に、選抜にしたのに選ばれた理由が本人に伝わっていない場合も止まります。全員か選抜かの決め方は生成AI研修を全員に受けさせるか、選抜にするかで整理しています。
(2) 演習で使う題材が、社内にない
研修会社が用意した汎用の例題で演習をすると、当日はうまくいきます。ただし、翌日に自分の仕事でやろうとすると材料が違います。ここを埋めるには、会社側が自社の題材を出す必要があります。実データをどこまで演習に持ち込めるかは演習で自社の実データを使わせてよいかをご覧ください。題材を出せないまま2回目を発注すると、また汎用の例題になります。
(3) アカウントと社内ルールが整っていない
研修では使えたのに、翌日から会社の端末では開けない。あるいは、入れてよい情報の線が決まっておらず、現場が自主的に使うのを控えている。どちらも研修の中身とは関係のない部分です。アカウントの決め方は研修の前に決めるアカウントと契約、社内ルールはAI利用規程の作り方で扱っています。
(4) 上司が、使ったことを歓迎していない
部下が作ったものを見て「これはAIか」と聞き返す。この一言で、その部署では使われなくなります。管理職に必要なのは、出てきたものを見る訓練です(部下が生成AIで作った資料を上司がどう確認するか)。この場合、2回目の対象は現場ではなく管理職です。
この4つのどれかなら、まず社内で1つ動かしてから、2回目の発注をしてください。順番を逆にすると、整っていない状態でもう一度お金を使うことになります。
3|原因が研修の設計側にあるとき
一方、研修会社の側に原因がある場合もあります。当社が見てきた範囲では、次の3つです。
- ツールの紹介で終わっていた。機能の説明と画面の操作で1日が終わり、自分の仕事に当てはめる時間がなかった。業務で使える研修との違いは生成AI研修とは何か、ツール紹介で終わる研修との違いで詳しく説明しています。
- 受講の形式が合っていなかった。オンラインで全員が音声を切ったまま終わった、録画配信にしたら最後まで見た人が少なかった、など。形式ごとの違いはAI研修の受講形式(集合・オンライン・録画)の選び方で比べています。
- 時間の刻み方が合っていなかった。1日で詰め込んだ結果、後半の演習で手が止まったまま終わった。半日を複数回に分けたほうが定着する場合があります(分割研修と連続研修の違い)。
この3つは、発注時の仕様で変えられます。ですので、2回目は研修会社を替えなくても変えられる可能性があります。同じ会社に「今回はこう変えたい」と伝えて、応じられるかどうかで判断してください。
4|同じ会社に頼み直すか、替えるかの分かれ目
当社がご相談を受けたときに使っている分け方です。
| 状況 | 判断 | 理由 |
|---|---|---|
| 原因が会社側(対象者・題材・アカウント・上司)にある | 替えても変わらない。社内を先に動かす | 講師が変えられる範囲の外にある |
| 1回目の会社に「こう変えたい」と伝えたら、具体的な代案が返ってきた | 同じ会社で2回目を組む | 自社の事情を既に知っている分、設計の手戻りが少ない |
| 「次はもっと実践的にやります」としか返ってこない | 替えることを検討する | 何を変えるかが言えない相手は、2回目も同じ設計になる |
| 自社の題材を持ち込む相談をしたら、断られた | 替える | 題材が汎用のままでは、(2)の状態が再現する |
| 打つべき相手が現場から管理職に変わる | 替えるかどうかは別問題。まず相手を変える | 同じ会社でも、対象者が変われば別の研修になる |
表の2行目と3行目の違いは、相手が「何を変えるか」を言えるかどうかだけです。1回目の担当者に、1章の表を見せて「うちはこの状態だった」と伝えてみてください。返ってくる中身で、おおむね判断がつきます。
5|2回目の設計で変える4か所
替えるにせよ替えないにせよ、2回目で手を入れる場所は4つです。
- 対象者を絞る。1回目が全員必須だったなら、2回目は「使う予定のある業務を持っている人」に絞ります。人数が減ると、1人あたりの演習時間が増えます。
- 題材を先に集める。研修の2〜3週間前までに、受講者が実際に扱っている文書や作業を社内で集めます。これは会社側の宿題です。ここを出せるかどうかで、2回目の中身が決まります。
- 時間の刻み方を変える。1日で終えたなら、半日×2回に割って、間に2週間を置きます。間の期間に自分の仕事で試してもらい、2回目の冒頭で詰まった場所を扱います。
- 終わったあとの2週間を、先に決める。誰が、いつ、何を確かめるか。研修を単発で終わらせない仕組みは生成AIの社内教育を続く仕組みにする方法で扱っています。1回目でここが空白だったなら、2回目はここから設計してください。
4つのうち、最も効果が大きいのは2番目の題材だと当社は考えています。対象者を絞っても、時間を割っても、扱う材料が汎用のままなら、当日の手応えは変わっても翌日は変わりません。
6|2回目の見積書は、1回目と同じ項目に分解して比べる
2回目の見積書は、1回目より高くなることがあります。題材の作り込みや、回数を分けたことによる講師の拘束時間が増えるためです。安くなることもあります。
ここで金額だけを並べて比べないでください。研修の見積書は会社によって数えているものが違うため、そのままでは比べられません。1回目の見積書を手元に置き、見積書を講師料・教材費・運営費に割り直す方法で同じ項目に分解してから比べるのが早道です。
研修の内容や進め方によっては、助成金の対象になる場合があります。ただし、制度を使うと研修の中身や形式に制約がかかり、2回目で変えたかった部分が変えられなくなることもあります(助成金を使うと研修の中身はどこまで決められるか)。
7|2回目を決めるときに、3回目の日程も置く
最後に1つ。2回目の日程を決める時点で、3回目の日程と対象業務も決めておいてください。
1回目が定着しなかった会社では、中身の質より先に「次がなかった」ことが原因になっているケースがあります。次がない研修は、受講者から見ると「その日だけのイベント」になり、翌日から自分の仕事を変える理由が本人の側にありません。
次の回の日程が先に見えていると、回と回の間が「試す期間」になります。
8|ノセカエに相談いただく場合
- 他社で実施した1回目についても、ご相談をお受けします。当日の資料とアンケート、その後のアカウントの利用状況をうかがい、1章の4つのどれだったかを一緒に見ます。
- 原因が社内にある場合は、そうお伝えします。対象者の選び方や、アカウント・規程が整っていないことが原因なら、研修より先にそこを動かすことをおすすめします。
- 題材は貴社から出していただきます。汎用の例題だけで2回目を組むことはしません。出せる題材が社内にない場合は、何を集めればよいかの相談から始めます。
- 2回目を当社に頼む必要はありません。1回目の会社に伝えれば済む内容であれば、そのようにお伝えします。
まとめ
1回目が定着しなかったとき、先に決めるのは発注先ではなく、何が起きなかったのかを4つの状態から1つに絞ることです。原因が会社側にあるなら社内を1つ動かしてから発注し、設計側にあるなら1回目の会社に代案を求めて判断してください。2回目では対象者・題材・時間の刻み方・終わったあとの2週間の4か所を変え、3回目の日程も先に置きます。
注意事項
4つの状態の分類、発注先を替えるかどうかの分かれ目、2回目で変える4か所は、当社のご相談と実施の経験に基づく整理であり、統計調査に基づくものではありません。研修の効果を保証するものではありません。助成金は対象になる場合がありますが、支給の可否は労働局の審査によるもので、受給を保証するものではありません。適用の可否は最新の公表資料と、必要に応じて社会保険労務士にご確認ください。
1回目に何が起きなかったのか、一緒に見ます。
他社で実施された研修についてのご相談でもかまいません。1回目の研修のあとの利用状況をうかがい、2回目で変える場所を、30分の無料相談で確認します。当社に発注する前提は不要です。
自社向けの研修内容を相談する →お電話でのご相談:03-6820-2744(平日10:00〜18:00)
