ノセカエ生成AI研修 by Never Red無料相談

AI活用研修|「触らせる研修」と「使わせる研修」の設計の違い

キーワード: AI活用 研修 | ノセカエ(運営: Never Red株式会社)

「去年、AI活用研修をやったんです」というお話を伺うと、私はいつも同じことを聞き返しています。「その研修のあと、どなたが、どの業務で使い続けていますか」と。

この質問に、部署名と業務名がすぐ出てくる会社があります。一方で、「アンケートの満足度は高かったんですが……」で止まる会社もあります。同じ日数、同じくらいの費用、同じようなカリキュラム。それでも結果が割れる。

割れている原因は、講師の質でもツールの種類でもないと考えています。研修の設計が、そもそも2種類あるのです。片方は「触らせる研修」、もう片方は「使わせる研修」。名前は同じ「AI活用研修」でも、目的から時間配分まで別物です。

この記事では、この2つが具体的にどこで分かれるのかを書きます。研修そのものの種類や費用の全体像はAI研修とはに、選定時に見る基準は法人向けAI研修の選び方に整理しました。ここでは設計の違い1点に絞ります。

1|同じ名前でも、設計が2種類ある

まず、2つを並べます。どちらが優れているという話ではありません。役割が違う、というのが出発点です。

触らせる研修使わせる研修
目的抵抗感をなくす。何ができるかを知る特定の業務が、翌週から別のやり方になる
題材汎用の例題(旅行プラン、メール文面など)受講者が実際に抱えている自社の仕事
時間配分説明が多く、演習は短い演習が中心。説明は演習の合間に入る
持ち帰るもの知識と、やってみた感触自分の業務で動いた手順そのもの
終わり方質疑応答とアンケート各自が「来週やること」を1つ決めて終わる
翌週の状態個人差が大きく出る決めた1つが動いているかを確認できる

いちばん効いてくるのは、上から2行目の題材です。ここが汎用の例題である限り、受講者は帰社後に「自分の仕事への翻訳」を1人でやることになります。この翻訳ができる人は、たいてい研修を受ける前から使えています。

ツール紹介で終わる研修との違いという観点は生成AI研修とはにも書きましたが、本記事はその一段先=「実務を題材にする」と決めたときに何を変えることになるのかを扱います。

2|触らせる研修が必要な会社もある

先に、当社に不利になる話を書きます。すべての会社に「使わせる研修」が向いているわけではありません。

次のどれかに当てはまる場合は、触らせる設計から入るほうが順当だと考えています。

1つ目に心当たりがある場合は、研修より先に社内ルールの整備が要ります(生成AIの社内ルールの作り方生成AIガイドライン)。順番を逆にすると、研修で覚えたやり方が後から禁止されるという最悪の形になります。情報の扱いについては生成AIのセキュリティリスクに整理しました。

触らせる研修の失敗は、内容ではなくそこで止まることです。1回目として設計するなら正しい。しかし「1回やったから、あとは各自で」で終わると、3か月後には使っている人と使っていない人に分かれます。1回目を打つなら、2回目の日程も同時に押さえてください。

3|「使わせる研修」は、題材の集め方から始まる

使わせる設計にすると、準備の重心が講師側から会社側に移ります。ここが最も見落とされる点です。

演習の題材は、受講者本人の業務から持ってきます。したがって研修の1〜2週間前に、次のものを集める工程が入ります。

  1. 各自が「時間がかかっている」と感じている作業を1つずつ。抽象的な悩みではなく、作業名で挙げてもらいます。
  2. その作業の実物。過去に作った報告書、送ったメール、まとめた議事録など。個人情報や取引先名を伏せた形で構いません。
  3. いまのやり方の所要時間。1回あたり何分か。これが後で比較の基準になります。

この3つが集まっていると、演習の題材が受講者ごとに違う状態でスタートできます。逆に集まらないと、当日その場で題材を考えることになり、結局は汎用の例題に戻ります。「使わせる研修をやったつもりが、触らせる研修になっていた」原因の大半がここです。

どの業務から取り上げるべきかの当たりを付けたい場合は、部門別の整理(生成AIの業務活用事例10選)や、具体的な作業単位の例(ChatGPTを業務で使う具体例10)を先に見せておくと、挙がってくる作業の粒度が揃います。

4|設計が分かれる4つの点

提案書を比べるときは、次の4点を見てください。カリキュラムの見出しは、どちらの設計でもほとんど同じ言葉で書かれます。見出しではなく、この4点で見分けます。

分かれ目1|題材が、自社のものか

「貴社の業務に合わせた演習」と書いてあっても、中身は業種向けの汎用シナリオであることがあります。確認の仕方は簡単で、「演習で使う資料は、こちらが事前に提出するものですか」と聞くことです。提出が要らない設計なら、題材は先方が用意したものです。

分かれ目2|時間配分が、説明側か演習側か

1日研修の場合、説明と演習の比率がどれくらいかを数字で聞いてください。説明が半分を超えると、演習は「やってみた」で終わります。手を動かして、詰まって、直して、もう一度動かす。この往復が最低2周入る時間が要ります。

プロンプトの型を覚える部分は説明が要りますが、これは短く済みます(プロンプトの書き方)。型そのものより、自分の仕事に当てはめて崩れたときに直せるかが本番です。

分かれ目3|持ち帰る成果物が、何か

触らせる研修で持ち帰るのは資料とメモです。使わせる研修で持ち帰るのは、自分の業務で実際に動いた手順です。具体的には、指示文と、その結果と、どこを直したかの記録。

この記録があると、隣の人に渡せます。渡せる形になっていない知識は、その人が異動した時点で会社から消えます。資料作成のように型が決まっている業務ほど、この共有が効きます(生成AIで資料作成生成AIで議事録)。

分かれ目4|終わった後の置き場が、決まっているか

4つ目が実務でいちばん軽視されます。研修で作った手順を、どこに置くかを決めていない会社が多い。個人のメモ帳に残ると、翌月には誰も参照しません。

共有フォルダでも社内チャットのチャンネルでも構いませんが、研修の日までに場所と名前を決めておいてください。置き場が無いと、定着の話が精神論になります(社員がChatGPTを検索代わりで止まる理由)。

5|会社側が、研修の前に用意する3つ

「使わせる研修」に切り替えるとき、発注側で先に決めておく必要があるのは次の3つです。ここが未了のまま日程だけ先に決まると、当日の演習が浅くなります。

用意するもの決める内容決まっていないと起きること
アカウント誰が、どの環境で使うか。研修当日に全員がログインできる状態か当日の最初の30分がログイン対応で消える
入れてよい情報の線実務データのうち、何を伏せて持ち込むか演習で使える題材が無くなり、例題に戻る
成果物の置き場手順を保存する場所と、名前の付け方作った手順が個人に残り、翌月に消える

1つ目は事務手続きに見えますが、当日の効きが最も大きい項目です。「当日その場で登録します」という進め方だけは避けてください。環境の準備を含めた導入の順番は中小企業の生成AI導入ステップに書きました。

2つ目は、社内ルールが既にあるなら、そのルールを研修前に受講者へ配るだけで足ります。無い場合は「今回の研修に限っての持ち込み可否」を暫定で決めるのが現実的です。

6|研修後に使われなくなる、3つの型

ご相談の場で聞く「やったのに定着しなかった」は、だいたい次の3つに収まります。

型1|受講者が、自分で使う業務を持っていなかった

人選の問題です。「各部署から1名ずつ」で選ばれた人が、その部署でいちばん忙しくない人だった、という形がよくあります。忙しくない人は、変えたい業務を持っていません。

変える対象の業務を持っている人を選ぶのが原則です。人数が少なくても構いません。少人数での組み方は中小企業の管理職研修の考え方が流用できます。

型2|上司が、新しいやり方を受け取らなかった

受講者が新しい手順で作った資料を、上司が従来の形で出し直させる。これが起きると、翌週から元のやり方に戻ります。研修を受けたのは部下でも、成果物を受け取る側が変わっていないのが原因です。

対策は単純で、成果物を受け取る立場の人を同じ回に入れることです。全部を受けなくても、演習の講評の時間だけでも同席してもらうと、その後の扱いが変わります。

型3|効果を測る基準を、研修の後に考えた

「どれくらい効果がありましたか」と後から聞かれても、比較対象が無ければ答えようがありません。前章で挙げた「いまのやり方の所要時間」を研修前に集めておくのは、このためでもあります。

測り方の考え方と、数字の置き方の落とし穴は生成AI研修のROIに整理しました。時間削減だけを指標にすると、実際には効いている「品質が揃った」「差し戻しが減った」が拾えません。

7|どちらから入るかの判断

2つの設計のうち、どちらを1回目に置くか。次の3問で、たいてい決まります。

  1. 受講予定者のうち、業務で生成AIを開いたことがある人は何割か。半数を下回るなら、触らせる設計を1回目に。
  2. 社内で使ってよい情報の線が、文書として決まっているか。決まっていないなら、先にそこを決める。
  3. 変えたい業務を、部署名と作業名で1つ挙げられるか。挙げられるなら、その業務を題材に使わせる設計へ。

3問すべてが揃っている会社は多くありません。だから1回目は触らせる、2回目で使わせる、という2段構えが現実的な形になります。重要なのは、1回目を打つ時点で2回目の日程と対象業務を決めておくことです。ここを空けたまま1回目を打つと、2回目が来ないまま1年が過ぎます。

研修とセミナーのどちらが目的に合うかという整理は生成AIセミナーとはに、DX研修との位置づけの違いはDX研修とはに書きました。基礎の底上げを先にやるべきかどうかはAIリテラシー研修とはをご覧ください。

ノセカエの場合

当社は、事前に受講者の業務を提出いただく前提で組んでいます。演習の題材が自社の実物でないと、翌週に残らないと考えているからです。そのぶん発注側にお願いする準備が多い研修です。

ご相談の段階で、先ほどの3問を伺います。そのうえで「今回は触らせる設計から入るべきです」とお伝えすることもあります。準備が整っていない状態で実務題材の研修を入れても、当日その場で題材を考える時間に変わってしまうためです。

費用の一部について助成金の枠を検討できる場合もありますが、対象になるかどうかは制度の要件と自社の状況で決まります。要件と対象範囲の一般的な整理はAI研修に助成金は使えるか人材開発支援助成金とはにまとめました。無料診断では、いまの状況で検討できる枠と、日程が間に合うかを整理してお出ししています。

まとめ

AI活用研修には、触らせる設計と使わせる設計の2種類があります。同じ名前で売られていて、カリキュラムの見出しもよく似ています。見分けるのは4点です。

題材が自社のものか/時間配分が演習側に寄っているか/持ち帰る成果物が動いた手順か/終わった後の置き場が決まっているか。この4点は、提案書を読むだけでは分かりません。事前に提出するものがあるかどうかを聞けば、ほぼ判別できます。

そして、触らせる設計が悪いわけではありません。使ったことのない人が半数を超えるなら、そこから入るのが順当です。避けたいのは1回目で止めること。1回目を発注する時点で、2回目の日程と、そのとき題材にする業務を決めておいてください。定着するかどうかは、研修の当日ではなく、その決め方で先に決まっていると考えています。

その研修、翌週から使われる設計になっていますか。

受講予定者の現在地と、変えたい業務を伺って、触らせる設計と使わせる設計のどちらから入るべきかを整理してお出しします。「今回は研修より先にルール整備です」という結論もそのままお伝えします。

助成金が使えるか無料診断 →

※本記事は、当社が研修の設計・実施を通じて整理した一般的な考え方であり、特定の研修事業者のカリキュラムや、個別の会社での効果について結果を確約するものではありません。記載した設計上の区分は当社の整理であり、業界で統一された定義ではありません。生成AIツールの提供条件・プラン・機能は提供事業者により随時変更されるため、導入にあたっては各提供事業者の最新の公表内容をご確認ください。助成金については、対象や要件が制度改正により変更されます。個別の申請について支給や採択の結果を保証するものではありません。労働社会保険諸法令に基づく申請書等の作成・提出代行は社会保険労務士の業務であり、当社では行いません。税務代理・税務書類の作成・税務相談は税理士法第2条第1項に定める税理士の業務であり、当社では行いません。労働者派遣に該当する形での役務提供は行っておりません。